Google Workspace を入れたら、社内の返信は数分、ファイル探しは数秒になった話 — 中小企業7人の会社で起きた4ヶ月

こんにちは、タクトです。
AI や DX を導入してきた経緯を、これから書いていこうと思います。「DX をやらなきゃ」と思いつつ電子化で止まっている方に、少しでも何か気づきになる部分があれば嬉しいな、という気持ちで書いています。
1. Thunderbird で「あのメールどこだっけ」と探し回っていた頃
Google Workspace を入れる前のことを思い出すと、いつも同じような場面が浮かんできます。Thunderbird の受信トレイで「あのメール、どこだっけ」と探し回っている自分の姿です。件名もキーワードもうろ覚えで、フィルタを設定し直したり、フォルダを並べ替えたりして粘るのですが、なかなか目当てのものが出てきません。「件名もうちょっと具体的に書いてくれよ」と心の中で毎回思っていました。
社内サーバーから1つのファイルを探すのに、1時間かかることもありました。フォルダの分け方を変えたり、検索の使い方を見直したり、自分なりに工夫をしてきたつもりだったのですが、根本的なところは何も変わりません。だから、「うちの運用が悪いんだろうな」とずっと思い込んでいました。道具のせいだとは、その時はまだ思いもしなかったんです。
2. 56歳、ずっと「無駄だな」と思っていた
簡単に自己紹介をしておくと、56歳、社員さん6人、私を入れて7人の小さな会社の社長をしています。製造業のファブレスメーカーで、毎朝1時間歩いて通勤している、ありふれた中小企業の経営者です。
DX が大事なのは、もちろんわかっていました。世間でも騒がれていましたし、自分でもやってるつもりでした。なるべく紙を無くそうと電子化には取り組みましたし、それなりに動いてはいたんです。けれど、それ以上が出てこない。紙の電子化の先に何があるのかが、思いつかない。メールもサーバーも不便だとは感じていて、「これって無駄だよな」と常々思ってもいたのに、具体的な次の一手が見えなくて、運用の工夫の範囲でずっと粘っていました。
Google Workspace の存在自体は、ずっと前から知っていました。気にはなっていたんです。背中を押してくれたのは、2025年11月に出た Gemini 3 だったと思います。AI 界隈のあちこちで「すごい」という声が上がっていた頃で、AI そのものは超意識していました。Workspace を入れれば Gemini が使える、というのも頭の中にありました。
決断のきっかけは、正直よく覚えていません。Workspace の使い方を YouTube で見たのか、Gemini が Workspace の中で使われている動画を見たのか。そのあたりのどこかで何かに刺さって、2025年12月の頭、Workspace を本気で考え始め、その月の半ばには契約していました。期待は、大きかったです。

3. Workspace を入れて、想定外だったこと
期待していたのは Gemini でした。Workspace に Gemini が入っていれば、メール返信や資料作成で AI を使える。それが導入の大きな動機の一つでした。けれど、実際に Workspace を入れて変わったのは、Gemini じゃなかった、というのが今振り返って思う一番の感想です。
サーバー引越し
「よし、Workspace に移行するぞ」と契約までは勢いよく決めて、あとはちゃっちゃと使い始めるだけ、と思っていました。
ところが、いざ使い始めようとすると、ドメイン認証で詰まりました。Google から指定された TXT レコード(ドメインの所有権を証明するためのもの)を DNS に追加する必要がある、と書いてあるんです。メールを Google で受けるなら MX レコード(メールの受け先を Google のサーバーに向ける設定)も変える。さらに SPF や DKIM、DMARC(送信元のなりすまし防止のためのメール認証設定)といった項目もいくつか入れる必要があります。要するに、DNS の設定をあれこれ変える必要があったんです。
それで、契約していたサーバー会社に問い合わせたら、「うちでは出せません」という返事でした。Google Workspace 用の DNS 設定には対応していない、と。マジかよ、と思いました。ちゃっちゃと使い始める、はずだったんですが。
結局、そこからドメインの引越しが始まりました。DNS 設定なんてやったことがありません。けれど ChatGPT に聞きながら、一つずつ手順を確認して潰していきました。知らない分野でも、聞きながら突っ込んでいけるんだな、ということは、このときに体感した気がします。
引越しは業務を止めるわけにいかないので、年末年始にやりました。認証が通って Workspace を実際に使い始めたのは、2026年1月の頭から、というスケジュールになりました。
社内メールをやめた
1月の最初の1週間は、メールを Gmail に、ファイルを Drive にと、Workspace の主要機能を使い始めていただけでした。チャット機能があるのは知っていましたが、特に使う予定もなかったんです。
それが1週間ほど経った頃、ふと「社内の連絡をチャットに変えてみたら、案外便利なんじゃないか」と思いました。本当に軽いノリでした。社内のメールは禁止、連絡は全部チャットで。「チャット来たら5分以内にサムズアップ」というゆるいルールだけ作って、自分自身も毎回守れたわけじゃない、というくらいの始め方です。
それでも結果として、返信が翌日だったのが、数分になりました。チャットだから全部記録に残ります。軽いノリで始めただけのつもりが、これが大当たりで、
加えて、想定していなかった効用もありました。口頭ではあまり多くを話さない人が、チャットだと意外とよく書いてくれる、ということに気づいたんです。手段が一つ増えただけで、伝わってくるものが変わりました。
ひとつだけ気になっていたのが、検索性でした。チャットは履歴が頭から長く流れていくので、後で「あの会話、どこだっけ」と探しにくくなるんじゃないか、と思っていたんです。それは杞憂でした。Workspace のチャット画面の右上に Gemini のボタンがあって、これを押して「こういう会話、過去にしなかったっけ?」と聞くだけで探してくれます。これがめっちゃ便利で、もう手放せないんですよね……
ファイル検索が数秒になった
社内サーバーで1時間探していたファイルが、Drive なら数秒で見つかります。Thunderbird の受信トレイで「あのメールどこだっけ」と探し回っていた時間が、まるごと消えました。
期待していた Gemini も、ちゃんと使えました。Gmail の中で「メールの返信案を作って」と言える。Drive で「この資料を要約して」と言える。日々の中で AI に触れる回数は、確かに増えていきました。
それでも今振り返って思うのは、Workspace を入れた最大の成果は、ファイル検索でも、Gemini でもなく、このチャットだったかもしれない、ということです。
4. 4ヶ月使ってみて、思っていること

あのときから、4ヶ月以上が経ちました。
「うちの運用が悪い」と思っていたのは、振り返ってみれば半分は当たっていました。サーバーのマッピングもファイル名ルールもまともに整っていなかったし、社内のコミュニケーションのルールも、共通の運用基準らしきものがなかったんです。Workspace に移行するタイミングで、社内コミュニケーションのルールと、Drive のフォルダ構成・命名ルールを書き起こして整備しました。簡単なルールではあるんですが、ファイルの階層は明らかに整いました。
ただ、もう半分は道具の問題だったと、今ははっきりわかります。Thunderbird で探し回っていた時間も、社内サーバーで1時間かかっていた検索も、自分の運用工夫だけでは絶対に超えられない壁でした。気づいてからは、何かを変えたいと思った時に、まず「これは道具で解決する話なのか、運用で解決する話なのか」を分けて考えるようになりました。
実は最近、Drive を使い込むうちに、階層構造を厳密に組まなくても回るのかもしれない、とも思いはじめています。Drive の検索が強い分、フォルダの整理に労力を割くより、ファイル名や検索の設計の方が効くのかもしれません。これは1月の整備時には見えていなかった視点で、4ヶ月使ってみたからこそ出てきた問い直しです。
期待していた Gemini は、ある意味、期待通りに動きました。Gmail の中で返信案を作らせる、Drive の資料を要約させる、チャットの会話履歴を Gemini ボタンから検索する。日々の中に AI が組み込まれた状態が、軽く動き出しました。
そこから先は、自分でも想像していませんでした。Gemini を使い込むうちに別の壁にぶつかって、ChatGPT・Claude を併用するようになり、最終的に Claude に一本化しました。Claude Code に出会って、社内のシステムを自分で作るようになりました。プログラミング経験ゼロのまま、です。そのどれも、Workspace を入れていなかったら始まっていません。
ただ、最近はもっと大きな見直しも頭の中にあります。Workspace を選んだあのときの判断は正解だったと思っています。けれど、Microsoft 365 のように複数の AI モデルを統合する設計の方が、チームの AI 活用には向くのかもしれない、と思いはじめてもいるんです。Google だと Gemini 一択になりますが、Microsoft 365 なら Claude や ChatGPT も選べます。今後どこに最適化していくのか、もう一度考えてもいい段階に来ているのかもしれません。
そして今もまだ、4ヶ月前の自分には想像できなかった場所で動き続けています。
5. おわりに
DX やらなきゃと思いつつ、紙の電子化で止まっている方、いますか。
その先は意外とすぐそこにある、というのが、4ヶ月使ってみた今の自分の感覚です。Workspace を入れて、社内の連絡が数分で回るようになるまで、自分の場合はたった1週間でした。引越しは年末年始の泥仕事でしたが、越えてみればそれだけのことだったとも思います。

道具は変えていい。運用は整備していい。両方やる必要があるけれど、両方やる前に止まっているくらいなら、まずどっちか1つでも動かしてみる価値はあるんじゃないかな、と思っています。
次は、この Workspace に標準で付いてきた Gemini を使い込むうちに気づいた、「コンテキスト」という存在の話を書きます。
ブログを書き始めたばかりで、まだ手探りなところもあります。もし違うところとか、こういう使い方もあるよ、というのがあれば、ぜひ教えてもらえると嬉しいです。
このシリーズについて
「AI に染まりきるまでの4ヶ月」(仮称)は、56歳・7人の会社の経営者が、Google Workspace 導入をきっかけに、Gemini → Claude → Claude Code へと進んでいった記録です。
- 第1作: Google Workspace を入れたら、社内の返信は数分、ファイル探しは数秒になった話(本記事)
- 第2作: Gemini を使い込むうちに気づいた「コンテキスト」という存在 (執筆予定)
- 第3作: 3つの AI に同じデータを渡したら、Claude だけ違った (執筆予定)
- 第4作: 売上管理アプリを10日で作った、プログラミング経験ゼロのまま (執筆予定)
- 第5作: フォルダを統合したら世界が変わった (執筆予定)
- 第6作: 4ヶ月で AI に染まって気づいた、社長の仕事 (執筆予定)